妊娠前から鉄を取り入れる ~食事から考える妊娠中期以降も取りたい鉄の取り方~
みなさんは鉄分を積極的に摂取していますか?
30代女性では4人に1人は鉄分不足がいる割合です。
妊娠すると貧血症状が出る場合が多いのですが、病気ではないからと放っておくと生まれてくる赤ちゃんにも自分自身にも悪い影響が出てしまいます。
将来に向けて必要な栄養はしっかりと摂れるようにするためにも鉄分の重要性と役割を見ていきましょう。
鉄分の重要性と妊婦さんが貧血を起こす仕組み
鉄分が不足すると赤ちゃんの発育不良や早産になりやすくなると言われています。
また産後の母乳の出る量にも影響することもわかっており、赤ちゃんが生まれるまでも生まれてからもとても重要な役割を担っています。
特に妊娠中期から妊娠後期にかけて必要とされる鉄分ですが、妊娠前の女性や妊娠初期の女性と比べると2倍以上の鉄分を必要としています。
【必要な鉄分量】
18歳以上の女性 10.5mg/日
妊娠初期 8.5~9.0mg/日
妊娠中期-後期 21.0~21.5mg/日
授乳期 8.5~9.0mg/日
(厚生労働省 日本人の食事摂取基準2015参照)
これだけの鉄分を必要とする理由は、
お腹の中の赤ちゃんが自分が大きくなるために必要な栄養と酸素は全て母体から運ばれてくる血液から取っているからなのです。
妊娠によって赤ちゃんへ栄養を届けようと体が働き自然と血液の量が増えるのですが、赤血球などはそれほど増えないので鉄分を意識的に摂取をしないと血液が薄くなってしまい貧血を起こしやすくなってしまうのです。
妊婦に貧血が多い原因はこの血液の濃度が薄くなる仕組みからで、血液中で全身へ酸素を供給する働きをするヘモグロビンを構成する重要な原料である「鉄分」を積極的に取る必要があるのです。
血液が薄くなるのを予防するためには十分な鉄分を摂取して、ヘモグロビン濃度が下がり過ぎないようにすることが大切なのです。
貧血が及ぼす影響と鉄分の必要性
冒頭で鉄分が不足すると赤ちゃんの発育不良や早産になりやすくなるとお伝えしましたが、貧血を放っておいて重症化した場合に起こる影響です。
基本的にはお母さんが摂取した栄養は赤ちゃんへ優先的に運ばれていくために、貧血を起こしたからすぐに赤ちゃんが発育不良や未熟児になるわけではありません。
しかし女性の中には慢性的な貧血を持った人もいます。
普段から貧血症状を持っている場合は油断しないでお医者さんとよく相談をして対策を取ることと普段から食べ物やサプリメントから積極的に鉄分を取るように意識を変えていきましょう。
ヘモグロビンは酸素と結びつく性質があるために血液に乗って身体のすみずみまで酸素を届ける役割を担っています。
鉄分不足によって十分なヘモグロビンが作られずに貧血状態になると体内が酸素不足となって、お母さんに下記のような症状を起こすことがあります。
・ めまい
・立ちくらみ
・全身倦怠感
・動悸
・息切れ など
お母さんの健康が、お腹の中の赤ちゃんが無事に育つために最も重要であることは言うまでもありません。
赤ちゃんが無事に生まれてくるようにするためにもお母さん自身もしっかりと栄養を取るように意識していきましょう。
鉄分の種類
食品中に含まれている鉄は主に「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」に分かれます。
ヘム鉄は肉や魚の赤身などの動物性食品に含まれています。
非ヘム鉄はほうれん草などの植物性食品に含まれています。
同じ鉄分ですが体内での吸収率はヘム鉄の方が高く、非ヘム鉄の方が低いという違いがあります。
しかし非ヘム鉄の方が身近な食材に含まれているために食事に取り入れやすいので、体内での鉄分の吸収率が上がる食材を一緒に食べることがポイントです。
ヘム鉄
主に肉や魚などの動物性たんぱく質食品に含まれています。
体内への吸収率が高いという特徴があります。
豚レバー、牛レバー、鶏レバー
豚モモ肉、牛赤身肉
マグロやカツオなどの赤身の魚
あさり、しじみ、カキなどの貝類
卵、煮干し、かつお節などがあげられます。
「血=赤」のイメージのように赤身の肉や魚に多く含まれていると覚えてください。
身近なヘム鉄を含む食材と鉄分含有量
アサリ(水煮) 30g 11.3mg
カキ 70g 2.5mg
しじみ(殻つき) 1/2カップ(80g) 1.1mg
まぐろ 80g 1.6mg
かつお 80g 1.5mg
まいわし 80g 1.4mg
牛もも肉(和牛・赤身) 80g 2.2mg
豚レバー 80g 10.4mg
鶏レバー 60g 5.4mg
非ヘム鉄
植物性たんぱく質食品や乳製品に含まれています。
ブロッコリーやほうれん草
牛乳、チーズなどの乳製品
大豆、納豆、豆類
のりやわかめなどの海藻類
などがあげられます。
吸収率が低いために、非ヘム鉄は「良質たんぱく質」や「ビタミンC」を多く含む食品と一緒に摂取することで体内への吸収率がアップします。
身近な非ヘム鉄を含む食材と鉄分含有量
・豆乳 200ml(紙パック1本):2.4mg
・ほうれん草 100g(小鉢1杯分):2mg
・小松菜 80g(小鉢1杯分):2.2mg
・干しひじき 5g(小鉢1杯分):2.8mg
・枝豆 80g(1人前):2.2㎎
・納豆 70g(約2パック):2.3㎎
・卵 1個(50g):1.1mg
「良質たんぱく質」はヘム鉄を含む食べ物に多いのが特徴です。
他にも
アジやサンマなどの青魚
鶏肉・豚肉・牛肉
卵、納豆、豆腐、牛乳、チーズ
が良質たんぱく質を含んでいます。
「ビタミンC」は葉酸と同様に加熱に弱いビタミンなので、調理は短時間で終えられるようにしてください。
生で食べられるものでビタミンCが多いのはパプリカ、加熱が必要ですがブロッコリーもビタミンCが多いのでおすすめです。
鉄分を取る時の注意点
ビタミンAの過剰摂取に注意
妊娠初期(妊娠3ヶ月頃まで)の場合はレバーに多く含まれている「ビタミンA」の過剰摂取によってお腹の中の赤ちゃんに先天異常が発生するリスクが高まるという報告があります。
妊婦のビタミンA(レチノール)の必要量は600μg(マイクログラム)、1日の上限は1500μgと言われています。
身近でビタミンAが豊富な食べ物
・うなぎ蒲焼き 1500μg
・うなぎ(肝) 4400μg
・レバー(豚) 13000μg
・レバー(鶏) 14000μg
※全て100gあたり
毎日に摂取をしていなければ問題は無いので、敏感になり過ぎることはありませんがサプリメントでビタミンAを補給すると過剰になる可能性があるので食事から摂取することを心がけましょう。
メチル水銀の過剰摂取に注意
魚に含まれる「メチル水銀」の過剰摂取もお腹の中の赤ちゃんに先天異常の影響が出るとの報告があります。
ミナミマグロ、キンメダイ、クロマグロ、メバチマグロ、メカジキ、カツオなどの赤身の魚が該当します。
1週間で80gまでであれば食べてもリスクは非常に低いとの報告がありますので、お鮨のマグロなども摂取量に気をつけて食べれば問題はありません。
まとめ
今回は鉄分をテーマに見てきましたが、みなさんは自分の食生活を振り返ってみていかがでしたでしょうか。
妊娠前の人は普段から貧血予防として鉄分を取る習慣をつけていきましょう。
そうすれば妊娠を考えた時にも焦る必要はなくなりますね。
妊娠中の人はもっと積極的に鉄分を取るようにしてください。
その時に妊娠初期、妊娠中期、妊娠後期によって過剰摂取してはいけない栄養素が異なることを意識して今の自分に必要な栄養素をきちんと取れる食生活を心がけるようにしていきましょう。
また前回の葉酸と同様に妊娠中は体調の変化が大きいので食事が取れない場合は無理をせず食べられるものを食べて、不足している栄養素をサプリメントで補うようにしてください。
次回は妊娠中に不足しがちなカルシウムについて確認をしていきます♪
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