妊娠を考えたらカルシウムを取ろう ~食事から妊娠中も必要なカルシウム量を取る習慣をつける~
みなさん、よくカルシウムが足りていないと耳にしませんか?
イライラしたり、まぶたが痙攣したりする症状はカルシウム不足が原因かもしれません。
妊娠中にも足がつる症状が出るとよく言われますが、これもカルシウム不足が原因です。
カルシウムは丈夫な骨や歯を作るためにお腹の中の赤ちゃんにとってもとても大切な栄養素です。
積極的にカルシウムを取って赤ちゃんもあ母さんも健康でいられるように今から食生活を改善して将来に備えていきましょう!
女性のカルシウム摂取量は足りていない
お腹の中の赤ちゃんにとってカルシウムは骨や歯を作るための重要な栄養素です。
また生まれてからの授乳中にもカルシウムは大切で、大量のカルシウムが母乳へ使われるために毎日のカルシウム摂取が課題と言えるでしょう。
カルシウムは欠かせない栄養素ではありますが、妊娠中は母体の腸管からのカルシウム吸収率がアップするので、普段から必要量を食事や飲み物からきちんと取ることが出来ていれば妊娠しているからといって特別にカルシウムを多く取る必要はありません。
しかしカルシウムは日本人女性に最も不足しがちな栄養素の一つです。
厚生労働省が行った国民栄養調査(2015年)によれば
1日におけるカルシウム平均摂取量は
20代女性が449mg
30代女性が437 mg
40代女性が456 mg
のように1日に必要とされる摂取量(650mg)を大きく下回っています。
普段からカルシウムの摂取量が足りていないことからも妊娠を考えた時から意識をして改善をしていく必要があることがわかります。
カルシウム不足の影響
妊娠中の女性がカルシウム不足であってもお腹の中の赤ちゃんは育つことが出来ます。
カルシウムは人間の体重の1~2% 含まれており、体の中に最も多く存在するミネラルです。
妊娠中にカルシウムの摂取量が不足した場合は、お母さんの体に蓄積されているカルシウムが赤ちゃんに供給されるのです。
赤ちゃんの発育に影響がないなら、カルシウムを摂らなくても問題がないと思ってしまうかもしれません。
しかし体内に蓄積されているカルシウムの約99%が骨や歯を構成しているのです。
だからカルシウムの摂取量が足りない場合にはお母さんの骨や歯に蓄積されたカルシウムがどんどん溶け出して、赤ちゃんに届けられてしまうということになるのです。
また、先程も触れたようにカルシウムは妊娠中だけではなく、産後の授乳期にも使われます。
不足しているカルシウムをしっかり摂らないままでいるとお母さんの骨や歯のカルシウムが減っていってどんどんもろくなり、将来的には「骨粗しょう症」になる可能性が高くなってしまうかもしれないのです。
骨粗しょう症による弊害
「骨粗しょう症」とは長年の生活習慣などにより骨の量が減って骨がスカスカになり、骨折しやすくなる病気です。
骨の量が減っていっている段階では自覚症状はありません。
ところがもろくなった背骨が自分の体重に押しつぶされて骨折をしてしまったり、背中や腰が曲がってしまったりしてしまうこともあります。
重症になると歩いているだけで大腿骨(足の付け根)を骨折して寝たきりになってしまうなど深刻な問題を引き起こす可能性があります。
骨粗しょう症は男性よりも女性に多く、日本における骨粗しょう症患者の約80%は女性が占めるほどです。
骨密度のピークは男女ともに20代がと言われており、以降は年齢が高くなるほど骨吸収・骨形成ともに機能が低下していき骨粗しょう症になる人の割合が多くなります。
50歳以上の女性に至っては4人に1人が骨粗しょう症にかかっていると言われています。
妊娠中のカルシウム不足による影響
1.イライラする
カルシウムには神経の興奮を鎮めて精神を安定させる作用があります。
カルシウムが不足するとイライラしてしまうと言われるのはこの精神安定作用によるものです。
妊娠中はつわりを始めとする体調の変化やホルモンバランスの急激な変化、出産への不安などから必然的に情緒が不安定になりがちです。
穏やかな気持ちで出来るだけリラックスして過ごせるようにするためにも積極的にカルシウムを摂りましょう。
2.足がつる
カルシウムには筋肉や神経の働きを正常にする作用もあります。
カルシウムが不足して血液中含まれるカルシウム、ナトリウム、カリウムなどのバランスが崩れてしまうと神経が興奮しやすくなって、痙れん(筋肉の収縮が続く状態)が起きやすくなるからです。
ふくらはぎがつるこむら返りは妊娠中期〜妊娠後期の妊婦さんに起きやすいトラブルの1つです。
主な原因は重くなった体を支えることで足の筋肉に疲労が蓄積したり、子宮に血管が圧迫されて下半身の血行が悪くなったりするためなのですが、カルシウム不足も影響していると考えられます。
カルシウムが妊娠高血圧症候群の予防に役立つ
妊娠20週以降 、分娩後12週までに高血圧がみられる場合、または高血圧に尿たんぱくが発生した場合に「妊娠高血圧症候群」と診断されます。
妊娠高血圧症候群になると胎盤に十分な血液が供給されなくなり
赤ちゃんの発育が悪くなる「胎児発育不全」
赤ちゃんが生まれる前に胎盤がはがれてしまう「常位胎盤早期剥離」
赤ちゃんがお腹の中で死んでしまう「子宮内胎児死亡」
をもたらすこともあります。
妊娠高血圧症候群は重症になってしまうとお母さんも赤ちゃんも共に命に危険が及ぶ恐ろしい病気なのですが、自覚症状に乏しいので気づきにくいという難点があります。
診断の基準は、血圧測定と尿検査になります。
残念ながら現在でははっきりとした原因は分かっていませんので、効果的な予防法も見つかっていません。
しかし血圧を上げないように取り組むことは出来ます。
当然ながら太り過ぎ、塩分の取り過ぎは高血圧を招きます。
また過労や強いストレスも大きな要因になります。
バランスのよい食事と規則正しい生活習慣が何よりの予防法になることは言うまでもありません。
カルシウムには塩分を排泄させて、血圧を低く保つ作用があります。
カルシウムをしっかり摂ることは妊娠高血圧症候群の予防につながるといえるでしょう。
カリウムも妊娠高血圧症候群の予防に役立つ
カリウムはほうれん草や春菊などの葉物野菜やカボチャなどの緑黄色野菜、キュウリやナスなどの淡色野菜と幅広く様々な食品に含まれています。
果物の場合はバナナ、いちご、メロンなどで主にウリ科に多く含まれています。
特にじゃがいも・里芋・サツマイモなどのイモ類にカリウムは豊富に含まれています。
切り干し大根・納豆・ひじきなどからも効率よくカリウムを摂取出来るので普段のおかずに取り入れると良いでしょう。
カリウムは水溶性なので茹でるとカリウムが流出してしまいますが、溶け出たカリウムも効果を発揮するので、スープや鍋物にして汁ごといただくのがおすすめです。
ただし汁物の場合は素材の味を生かして薄味にするよう心がけてください。
カルシウムを取ろう
カルシウムは乳製品や魚介類、海藻、大豆製品、野菜などに多く含まれています。
一食あたりの食品に含まれるカルシウムの量は参考にしてください。
乳製品
・牛乳(1本200g)…カルシウム220mg
・無糖ヨーグルト(1カップ100g)…120mg
・プロセスチーズ(30g)…189mg
魚介類
・干しエビ(10g)…750mg
・煮干し(10g)…220mg
・ししゃも(3尾60g)…198mg
海藻類
・乾燥ひじき(10g)…140mg
・乾燥カットわかめ(10g)…94mg
・おぼろ昆布(10g)…65g
・乾燥わかめ(5g)…39g
野菜
・モロヘイヤ(50g)…130mg
・大根の葉(50g)…130mg
・小松菜(70g)…119mg
大豆製品
・がんもどき(80g)…216mg
・もめん豆腐(1/2丁150g)…180mg
・高野豆腐(20g)…132mg
・厚揚げ(1/4枚50g)…120mg
・納豆(1パック100g)…90mg
カルシウムは吸収率が悪い
ところが実はカルシウムは吸収率の悪い栄養素で食品によって体内での吸収率に違いがあります。
摂取した量に対してこれだけしか吸収されません。
牛乳 約40%
小魚 約33%
野菜類 約19%
そのためにマグネシウム、ビタミンD、ビタミンCによって吸収率が上がるので併せて食材を取り入れましょう。
その中でもやはり吸収率の高い牛乳や乳製品から積極的にカルシウムを取ることをおすすめします。
マグネシウム
マグネシウムは骨や歯を形成するための重要な成分です。
マグネシウムを多く含む食品としては大豆類やピーナッツなどのナッツ類に多く含まれています。
ビタミンD
ビタミンDも骨や歯を形成するための重要な成分です。
ビタミンDはきくらげ、まいたけ、キクラゲ等のきのこ類、ブリや鮭、いくら等の魚介類に含まれています。
ビタミンC
ビタミンCは骨や歯を作るだけではなく、コラーゲンの生成を助ける働きがあります。
ビタミンCは赤ピーマン、黄ピーマン、ブロッコリー等の野菜類、いちご、キウイやオレンジ等の果物類に豊富に含まれています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
通常の食事で積極的にカルシウムを取っても体には影響はないくらいにカルシウムが足りていないことがわかりました。
しかし足りない分を補給しようとカルシウムやビタミンDのサプリメントに頼り過ぎるとカルシウムが過剰に吸収されて尿路結石や腎臓障害を引き起こす場合があります。
サプリメントは補助的なものであることを忘れないようにしましょう。
今からカルシウムもしっかり取って健康的な生活を送り将来に備えるようにしていきたいですね♪
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